イチローが引退会見で語った「遠回りすることでしか、本当の自分に出会えない」
東京ドームでの最終戦と、深夜の引退会見
2019年3月21日、マリナーズのイチロー選手は、東京ドームでのアスレチックス戦を最後に現役引退を発表しました。
試合後も多くのファンが球場に残り続けるなか、日付が変わった午前0時頃から、都内のホテルで記者会見が始まります。100名以上の報道陣が集まったそうです。会見は約1時間半に及び、最後は「ありがとうございました」と深く一礼して会場をあとにしました。
この会見で語られた言葉の一部をご紹介します。
「後悔などあろうはずがありません」
決断への後悔や思い残しを聞かれたイチローは、東京ドームで起きた出来事をふまえて、こう答えました。
「今日のあの球場でのできごと…。あんなものを見せられたら、後悔などあろうはずがありません」
そして、「人よりも頑張ったということはとても言えない」としながら、「自分なりに頑張ってきたということは、はっきり言える」と続けました。
「秤は自分のなかにある」
生き方として伝えたいことを聞かれたイチローは、こう語っています。
「あくまでも、秤(はかり)は自分のなかにある。それで自分なりに秤を使いながら、自分の限界を見ながら、ちょっと超えていくということを繰り返していく」
一気に高みを目指すと、今の自分との差が大きすぎて続けられない。だから地道に、少しずつ積み重ねるしかない、とも話しました。そして、次の言葉で締めくくっています。
「遠回りすることでしか、本当の自分に出会えない」
自分がやると決めたことを信じてやるが、それが必ずしも正解とは限らない。間違ったことを続けてしまうこともある。それでも遠回りすることでしか、本当の自分には出会えない気がする――という意味の言葉です。
子どもたちへのメッセージ
子どもたちへのメッセージを求められたイチローは、「野球だけでなくても良いんですよね、始めるものは」と前置きして、「自分が熱中できるもの、夢中になれるものをみつけられれば、それに向かってエネルギーを注げる」と話しました。そうしたものが見つかれば、目の前に立ちはだかる壁にも向かっていける、というのです。
また、挑戦についても「『できる』と思うから挑戦するのではなく、『やりたい』と思えば挑戦すれば良い」と語りました。
貫いたものは「野球を愛したこと」
「貫いたもの」を聞かれると、「野球のことを愛したことだと思います」と答えました。アメリカで通算3089本のヒットを打ったイチローを支えたのは、妻の弓子さんが握るおにぎりでした。ホームの試合前に食べたおにぎりは、およそ2800個になるそうです。「3000個握らせてあげたかった」という言葉に、感謝がにじんでいました。



