松下幸之助の「あんさんは運がよろしいですか?」運の強さを見る質問の真意

面接で聞いた意外な質問

パナソニックの創業者・松下幸之助は、松下電器に入社しようとする人に対して、こんな質問をしたと伝えられています。
「あんさんは運がよろしいですか?」
松下政経塾を設立した際にも、塾生の選考基準に「運の強いこと」を挙げました。ジャーナリストの田原総一朗さんの取材に対して挙げた基準は、「愛嬌があること」「ひと通り勉強ができること」「皆の前で自分の意見をしっかり話せること」、そして「運が強いこと」の4つだったといいます。

「運が強いかどうか、わかるのですか」

取材では、「運が強いかどうかがわかるのですか」と問われました。松下の答えは、こうでした。

「まあ、私が見たらわかりますのや」

松下自身の「運のよさ」エピソード

松下自身、著書『人生談義』で「ぼくは運のいい人間だと思いますよ」と語っています。その根拠として知られる体験は、次のようなものです。

  • セメント会社の臨時雇いとして働いていた頃、仕事帰りの船で、足を滑らせた船員に抱きつかれて一緒に海に落ちた。夢中で手足をバタバタさせていると、船が戻ってきて救助してくれた。「夏だったからよかったけれど、もし冬だったら死んでいたでしょうな」
  • 独立して商売を始めた頃、自転車で製品を配達中に、四つ角で飛び出してきた自動車にはね飛ばされた。飛ばされた先は電車道で、電車が来たが、2メートル手前で止まってくれて、かすり傷一つなかった。

よく考えると、どちらも客観的には「不運」な出来事です。海に落ちたり、車にはねられたりしているのですから。

「運がいい」とは、どう考えること?

この逸話を紹介した松下政経塾の塾生の論文は、松下にとっての「運のよさ」を、次のように解釈しています。
それは宝くじに当たるといった偶然ではなく、どんな出来事に対しても、自分が「幸いだ」と思えるかどうかだということです。海に落ちても「夏でよかった」、車にはねられても「電車が止まってくれた」と考える。そうして「自分は運が強いのだから、何とかやり遂げられる」と信じて、困難を乗り越えていったというわけです。
さらに、松下は成功しているときには「運がいいから」「人様のおかげ」と考え、うまくいかないときには「自分の努力不足」と考えて、見合った努力を続けた、とも紹介されています。

「ぼくは運のいい人間だと思いますよ」

なお、ここで紹介した内容は、松下政経塾の塾生が『人生談義』などの著作をもとにまとめた論文に基づくものです。「運のよさ」の解釈の部分は、あくまでその筆者の見方である点にご注意ください。それでも、起きた出来事をどう受け止めるかで、運は変わる――という視点は、今日の私たちにも参考になるのではないでしょうか。

参考

松下 幸之助の逸話一覧

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