道場六三郎が『料理の鉄人』で語った「臨機応変」|残り10分で炊飯器のトラブルを乗り切った話
初代「和の鉄人」として知られる道場六三郎さん。1993年10月に始まった『料理の鉄人』では、数々の名勝負とともに、生放送さながらのハプニングも生まれました。
ルールは厳しく、時間は1時間
週刊現代の鼎談(2015年)で道場さんが振り返っているところによると、番組では調理時間は1時間厳守で、編集は一切なし。具材の仕込みも禁止され、キッチンスタジアムに持ち込めるのは自分の包丁と1種類のスープだけでした。やり直しのきかない真剣勝負だったのです。
炊飯器のスイッチを入れ忘れた
そんな中で起きたトラブルについて、道場さんはこう語っています。
「炊飯器のスイッチを入れ忘れていて、ご飯が炊けていないこともあった。残り10分しかなかったので、慌てて高圧釜で炊き直して何とか間に合わせたよ」
残り10分で、炊飯器から高圧釜へと手段を切り替えて、ご飯を間に合わせたというのです。
なお、別のインタビュー(GetNavi web)では、お米対決でアワビと一緒にお米を炊こうとしたところ、発売したばかりの新しい炊飯器の操作に手間取り、「なんだよ、この炊飯器は!」と怒鳴ってしまったとも語っています。後日、メーカーから「番組で言われると困る」と電話があったそうです。ただし、この二つが同じ回の話かどうかは明らかにされていません。
追いつめられた経験が土台に
この対応力のルーツとして、道場さんは若手時代の神戸のホテルでの経験を挙げています。調理場に入る時間を制限され、50人分の宴会料理をぎりぎりの時間で仕上げなければならなかったことがあったそうです。
「制限内に料理を作ることは『料理の鉄人』のときにも鍛えられたけど、人間って追いつめられると何かひとつ抜け出すことができるんだね」
当時の料理長については、のちに「その料理長がいたから今の僕がいる」という感謝に変わったといいます。
「料理にトラブルはつきもの。大事なのは、パッと発想を切り替える臨機応変さ」
道場さんは、同じ鼎談でこうも述べています。機転の利かない料理人は勝てない、というわけです。失敗をその場で別の一手に変える力こそが、「鉄人」と呼ばれた腕前の裏にあったのかもしれません。



